【朝大文学café第7回読書会・文学は祖国解放戦争をいかに描いたのか】
去る6月30日(金)、朝鮮文化研究室の主催による「朝大文学café第7回読書会・文学は祖国解放戦争をいかに描いたのか―朝鮮・日本・アメリカ文学を中心に―」を開催しました。
各地域の文学について、それぞれ専攻する教員たちが報告し、祖国解放戦争とは何であったのかについて文学を通じて考える非常に有意義な場となりました。
①洪潤実さん(文学歴史学部助教)は、朝鮮の従軍作家らが創作した戦時小説を通じて、戦時を戦い生きた共和国人民の戦争認識と精神、その変化について発言しました。
②金真美さん(文学歴史学部准教授)は、朝鮮の戦時歌謡において「土地」が重要な素材として用いられたのは、土地を再び奪われまいとする抵抗の表れだとし、女性の農作業と前戦で戦う男性が対に歌われることで故郷死守という強烈なメッセージが戦時下の人々を鼓舞したことについて発言しました。また、証言文学として非転向長期囚の手記を再読する意義について話しました。
③李英哲さん(外国語学部教授・朝鮮文化研究室室長)は、日本(文学)における「忘れられた戦争」という批判的視座を前提としつつも、朝鮮戦争を「対岸の火事」として見送ることができなかった作家たちをクローズアップし、知識人としての苦悩や朝鮮戦争反対の意識と作品について報告しました。補充として、南朝鮮および在日朝鮮人文学における朝鮮戦争を素材としたいくつかの作品についての言及がありました。
④姜承福さん(外国語学部准教授)は、アメリカ文学において、朝鮮戦争が米ソの代理戦争として描かれたことを強調し、2000年には、朝鮮戦争を素材とすることでテロへの恐怖を煽り政府への従順さを求める9.11以後の構造を浮き彫りにした小説を紹介しました。
参加者からは朝鮮戦争を描いた中国の文学についても参照・研究する必要性について言及がありました。
本読書会には教員・学生14人が参加しました。
本読書会は、朝鮮新報でも紹介されました(下記リンク)。