12月9日(土)、在日朝鮮人関係資料室・研究会を開催しました。「日本における新幹会運動-朝鮮共産党との関係から-」というタイトルで李豊海さん(朝鮮大学校研究院))が報告しました。
 
新幹会は1927年2月に独立を志向する民族主義者と社会主義者が提携して結成された組織で、朝鮮では最大140支会が設置され、日本にも東京・京都・大阪・名古屋の4つの支会が設置されました。日本における新幹会運動は、在日朝鮮人運動を日本社会との関係だけでなく、朝鮮での独立運動や、国際的な反帝国主義運動との関係性から広く考えていくうえで重要な対象といえます。
日本における新幹会運動は朝鮮内での活動と違って、ML党(朝鮮共産党の内部に存在した「党内の党」)と呼ばれる共産主義グループの影響が強く働きました。朝鮮内では「朝鮮の特殊性」を考慮しない階級至上主義との批判を受けていたML党が、なぜ日本において影響力を発揮することができたのか。報告では、朝鮮にわずかに存在した小ブルジョアジーが在日朝鮮人社会にはほとんど存在せず、労働者中心の運動が展開されたところに、朝鮮の新幹会運動とは異なりML党が影響力を発揮できる余地がうまれたという仮説的結論が提示されました。
 研究会には教員、学生9人が参加しました。