2月9日(金)、朝鮮文化研究室主催・朝大文学Cafe第9回学習会〈パレスチナ、ガザへのジェノサイド進行下、ガッサーン・カナファーニー作『太陽の男たち』を読む・観る・語る。~岡真理さん(早稲田大学文学学術院教授・アラブ文学)を迎えて~〉を開催しました。
 
 
 
自らもパレスチナ難民であり、作家、ジャーナリストとして活動、解放闘争に参加し1972年に爆殺された、ガッサーン・カナファーニーの代表作であり、現代アラビア語文学の傑作である「太陽の男たち」(1962)を読み、原作から10年後に制作された映画を鑑賞し、アフタートークで岡真理さんのお話を聞くという企画となりました。
 
コーディネーターを務めた李英哲教授(朝鮮文化研究室室長)の担当する授業に岡真理先生をお招きし、出張授業という形で開催された学習会は、教職員、学生100名参加の大盛況のもと、長時間ながら参加者の高い集中度のなか濃密な学びの機会となりました。
 
1948年のイスラエル建国にともなうパレスチナ人を襲った「ナクバ(大厄災)」により難民となった男たちが、生きるためにクウェートへの密入国を試みるも凄惨な末路をたどるさまを描いた作品をめぐって、現下パレスチナ、ガザのジェノサイドをめぐり文筆、講演を通じ強い批判を発信し続けておられる岡真理先生から、作品をいかに読むか/観るかについて講演していただきました。
岡先生による、現代パレスチナ問題の歴史的政治的背景から、原作小説と映画とのラストシーンの決定的な違いとその意味について、現下のパレスチナ情勢の本質的問題について、大変熱のこもった講演がなされ、その後他のゲストを交えてのアフタートークも通じ、パレスチナ問題と朝鮮問題が地続きであること、〈祖国〉とは何か、それを失うこと/得ることとはどういうことかについて、ひいては、作品にこめられた、政治的主体となって闘うべきことについて、「ガザとは朝鮮学校のようなものだ」という岡さんの深い指摘とともに、私たち自身の存在と実践への認識へと開かれるような文学の読みを共有することができた催しとなりました。
  
※詳報が朝鮮新報に掲載されました。
今後も当センター・朝鮮文化研究室では、さまざまな「文学Cafe」読書会企画を意欲的に開催していこうと思います。